第15日 府中宿〜江尻宿〜由比宿

東海道五十三次踏破の旅第15日です。

9月中旬だというのに、気温は30度近くまであがるという夏日の予報です。
JR静岡駅に到着したのは朝8時45分頃でした。
地下街を通って、前回足を止めた七間町付近の交差点からスタートします。

今日はどこまで行こうか、この時点でまだ迷っています。
府中から江尻、興津、薩捶峠を越えて由比まで行きたいところですが、
これだとかなりの強行となります。
しかし、興津でやめるのは中途半端な気もするし、地図を見ながら距離を計りますが、
JR東海道線を何度も横断しながらクネクネ伸びる街道は、直線では短くみえても、
実際歩くと結構距離があるものです。
考えても仕方ないので、いつもの通り、行けるところまで行くだけです。
おそらく、由比まで強行することになるだろうと、家族全員覚悟していたと思います。

朝の少しでも涼しいうちにどんどん歩きます。
土曜日の朝9時ということもあり、静岡の繁華街はあまり人影がありません。

少し迷いながら旧東海道を探します。
静鉄の新静岡駅付近の細道が旧東海道でした。
やはり旧街道というのは、道幅や微妙な曲がり具合など、
特徴的なところがあり、すぐに分かるものです。

何度も大通りを横断しながら、静岡市街の旧東海道は真っ直ぐ進みます。
やがて、JR東海道線と新幹線をアンダークロスして線路を横断します。

すぐにまた線路を横断してもとに戻りますが、
この付近は線路や工場などに旧街道は寸断されて、
何度も線路を横断し迂回しながら進みます。

やがて東静岡駅付近で完全にJR東海道線に阻まれ、近くに迂回路も見あたりません。
少し戻るかたちで、歩道のない狭い陸橋を車の脇を歩きながら線路を横断しました。


線路の反対側に出ると、旧東海道記念碑が線路脇に建っていました。
その記念碑の近くに地下通路があり、線路を横断できたようです。
私たちはその存在を知らずに、少し戻って狭い陸橋を渡ってしまいました。

しかし地下通路も非常に狭いようで、しかも車も通行可能で、
狭いトンネルからクラクションを鳴らしながらどんどん車が出てきます。
中はどうなっているのか見えませんが、こちらもかなり危険なような気がします。

朝食が早かったので、もうお腹が空いてきました。
コンビニで軽くおにぎりを買って記念碑の前で食べました。

それにしても暑いです。ダイドーの自販機でペットボトルを買います。
前回拾ったポイントカードは、もうすぐ50ポイント近く貯まりそうな勢いです。
家族全員が自販機で買うと、一気に5ポイントですから、貯まるのも早いです。
最近このポイントが貯まるのが面白くなってきました。

江尻までは、まだまだ距離はありますが、時間ばかり掛かって、
あまり進んでいないように思えてきました。コンビニに寄ったり、休憩したり、
あまり歩くことに集中できません。
やはり最大の原因は暑さです。
9月中旬だというのに真夏並の暑さにかなり早くから体力を消耗しています。
みんなこのあたりから、歩く速さに差が出はじめます。
赤信号でつかまるとさらに差が広がり、後ろが見えなくなってしまうこともありました。

江尻へ向かう国道がかなり暑く辛かったです。
江尻宿に入って何か昼食を食べようと思いましたが、水分ばかり取っているので、
なんだか食欲もあまりありません。
結局食べる場所もなく、行動食のお菓子や、栄養補給ゼリーのようなものを食べて歩き続けます。
江尻宿を出て、細井の松原付近で長めの休憩を取ります。

午後2時を過ぎて、何となく暑さもゆるんできたように思えますが、
決して涼しくはなりません。興津へ向けて、再び国道1号線をひたすら歩きます。
どことなく、吹く風が浜風のうよになってきました。
海岸はまだ見えませんが、街道の右側はもう駿河湾の筈です。

興津の手前のコンビニでアイスクリームを食べて休憩しながら、
本当に薩捶峠を越えて由比まで行けるのかシュミレーションします。

この時点でJR由比駅まで2里以上あります。時間は15時を回っていました。
日没は17時40分くらいなので、ぎりぎり行けるか?といったところです。
しかし、これまでに消耗してしまった体力は計算に入っていません。

でも、子供達は結構平気そうです。が、問題は私ら親の方です。
私は、久しぶりに足にまめができて破裂寸前です。

さらに、帰路の高速道路約200キロを運転して帰る体力と気力を残しておかなくてはなりません。
このあたりが私の辛いところです。

もう陽は西に傾きはじめています。
清見寺の前を通り過ぎると、興津宿です。特に何もなく素通りします。

横目にJR興津駅が見えました。
やめるならここから電車で帰る事になります。
ここを過ぎれば、後は薩捶峠を越えて由比駅までエスケープする事はできません。

しかし、天気もよいので日没ぎりぎりまで歩けそうなので、がんばって由比まで歩く事にします。
やがて旧国道1号線は静清バイパスと合流してしまいますので、
興津川を渡ったところで、左にそれて薩捶峠へ向かいます。

もう日はすっかり西に傾き、陰が長くなってきました。
時間は午後4時を回っています。日没まであまり時間がないので、足早に峠へ向かいます。

ダラダラと長いアスファルトの上り坂を重い足を引きずるように歩いて、
ようやく薩捶峠の登山道の入り口に到着しました。
登山道の入り口はお墓の中にあり、墓場を通り抜けて行かなければなりません。

子供達は、宇津ノ谷峠もそうでしたが、登山道を見つけるとなぜか走って登りはじめます。
危ないから走るな!という声も届かない間に林の中に消えて行きます。

私は痛む足を意識して上げながらゆっくり歩きます。
しばらくすると、子供達の「すげー」という歓声が聞こえました。
少し遅れて私たちも子供達に追いつき、視界が開けた先に見えたのは、
どこまでも青く広がる雄大な駿河湾の海と地平線でした。

この瞬間、今日の昼間の暑さも、疲れも忘れて、
この風景に見とれながら海からの涼しい潮風にしばらく吹かれます。
峠の展望台から駿河湾を眺めましたが、残念ながら富士は、
裾野が一瞬見えただけでその姿をはっきり確認できませんでした。

でも、ついにここまで歩いてきました。
富士山は見えなくとも間違いなくもう目の前にある筈です。

峠を越えて、尾根道を由比宿に向けてゆっくり下りながら歩きます。
もうすっかり日は暮れはじめ、歩いている人は他には誰もいません。私たち家族だけです。

子供達は今日最後に見た駿河湾の広さと青さに感動して、
はしゃぎながら薩捶峠をどんどん先に下りて行ってしまいました。

由比宿に下りて古い町並みを歩きます。地元の方が声をかけてくれました。
子供達も静岡から歩いてきたと話すと、えらく感心していました。
それはそうかも知れません。歩数計の値は4万5千歩を超えています。
これまでの1日の歩行距離の最高記録です。
こうして1日に峠込みで、30キロ以上歩いてしまった第15日は、
疲労困憊ではあったが最後に見た駿河湾の海の広さと青さで相殺されて、
感動のうちに終わったと私は思いたい。

この後、私は200キロの道のりを運転して帰りましたが、
東名高速は、日中の事故の影響で16キロの大渋滞。帰宅したのは、夜11時を回っていました。

すっかり忘れていましたが、由比で、桜エビを食べていなかった。
まあ、夕方6時近くになっていたので、桜エビどころではなかったのですが。

■この日の道のり

■この日の歩行データ(歩数計で測定)
総歩数   46,216歩
総距離   30.04Km
消費エネルギー 1193kcal
※1日の歩数計の値です。実際の歩行距離とは異なります。
■利用した交通機関
伊勢湾岸自動車道・東名高速道路  湾岸豊明IC~清水IC
一般道  清水IC~清水駅(駅前駐車場)
JR東海道線  清水駅~静岡駅
JR東海道線  由比駅~清水駅
一般道  清水駅(駅前駐車場)~清水IC
伊勢湾岸自動車道・東名高速道路  清水IC~湾岸豊明IC

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